「あと何年ぐらいですか」――余命と医療の選択をどう受け止めるか
「あと何年ぐらいですか」――余命と医療の選択をどう受け止めるか
作家・川上未映子さんと腫瘍内科医・里見清一先生の対談記事が掲載されていました。記事中では明記されていませんが、川上さんのお母様は膵臓がんで亡くなられたご経緯があり、同じ病と向き合う患者さんやご家族にとって、非常に示唆に富む内容となっておりますので、ご紹介します。
この対談では、がん患者が医師に「あと何年ぐらいですか」と尋ねる場面を出発点に、余命の受け止め方や医療の選択(延命治療と対症療法)などについて語られています。
記事の大きなテーマの一つは、「病気の進行を抑えて寿命を延ばす治療」と「症状を和らげて生活の質を保つ治療」の両立や選択です。
延命治療:抗がん剤や手術など、病気の進行を抑えることを目指す。
対症療法(緩和ケアを含む):痛みや苦しみを軽減し、生活の質を守ることを重視。
ここで重要なのは、緩和ケア=いわゆる終末期医療ではないという点です。対症療法は症状を抑える広い概念であり、その一部に緩和ケアが含まれます。
膵癌は再発率が高く、治療の厳しさから「延命」と「生活の質」のバランスをどう取るかが大きな課題になります。記事は、患者さん自身やご家族が「どう生きたいか」を考えることが大切だと示しています。
余命の数字はあくまで目安であり、患者さんの生き方を決めるものではない。
延命治療と症状緩和のための治療は対立するものではなく、状況に応じて組み合わせて選ぶことができる。
医師との率直な対話が、納得できる選択につながる。
医師に「余命」だけでなく「生活の質」についても相談する
ご家族と「どう過ごしたいか」を共有する
緩和ケアチームや患者会を活用して、同じ経験を持つ人とつながる
この記事は、膵癌患者さんやご家族に「余命をどう受け止めるか」「延命治療と症状緩和のための治療をどう選ぶか」という根本的なテーマを考えるきっかけを与えてくれます。厳しい病気と向き合う中でも、「数字よりも、自分らしい生き方を選ぶこと」が大切だと伝えています。
(2025.11.19)