以前、当サイトでは、HER2陽性の進行・再発固形がんを対象とする治療薬エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)の製造販売承認事項一部変更申請が行われたことをお伝えしました。
こうした中、ガーダントヘルスジャパン株式会社は、血液検体を用いたリキッドバイオプシー検査「Guardant360 CDx がん遺伝子パネル」について、第一三共株式会社が一部変更承認申請中のHER2陽性固形がんに対するエンハーツの適応判定を補助するため、ERBB2遺伝子コピー数異常(HER2遺伝子増幅)を検出するコンパニオン診断として、9月22日に厚生労働省より承認を取得したと発表しました。
【承認】Guardant360 CDx がん遺伝子パネル、エンハーツのコンパニオン診断として承認取得 | がん情報サイト「オンコロ」
エンハーツは抗HER2抗体薬物複合体(ADC)として開発され、抗体ががん細胞に結合して薬剤を送り込み、細胞を傷害する仕組みを持つ新しいタイプの薬剤であり、従来の抗HER2療法とは異なる作用機序によって治療効果が期待されています。
もっとも、今回の承認は、あくまでもGuardant360 CDx が「HER2陽性固形がん」のコンパニオン診断として先行して承認されたというものであり、薬剤自体の承認と保険適用が早期に行われることが期待されます。
以前にも記したように膵臓がんにおけるHER2陽性例は少なく、臨床試験での効果も限定的であることが報告されています。そのため、膵臓がん領域における本剤の臨床的価値を確立するにはさらなるデータの蓄積が必要と考えられます。
しかしながら、今回の動きは臨床現場での使用に向けた重要な一歩であり、選択肢の限られる進行・再発がん患者にとっては新たな治療の可能性が加わったことを意味します。
(2025.10.09)