2026年9月7日、厚生労働省の薬事審議会 医薬品第二部会において、キイジェクト(キイトルーダ皮下投与製剤)が複数のがん種で承認審査を通過しました。この中には、膵臓がん患者さんにも関係するMSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)及びTMB-High(腫瘍遺伝子変異量高頻度)の固形がんが含まれています。
キイトルーダの皮下注製剤キイジェクト配合皮下注等、がん関連の12製品が二部会を通過 | がん情報サイト「オンコロ」
◎ 膵臓がんで適応となるのは「MSI-High」「TMB-High」のみ
膵臓がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬が効果を示すケースは限られており、MSI-High または TMB-High と判定された場合のみ適応となります。
MSI-High 膵がん
発生頻度は 1%未満
免疫療法が有効となる可能性がある
TMB-High 膵がん
発生頻度は極めて低い(1%未満。POLE/POLD1変異などが背景にある場合に高値となることがある)
MSI-High同様、免疫療法の対象となる
今回の審査通過により、従来の点滴製剤(キイトルーダ)に加え、皮下投与製剤(キイジェクト)が新たな選択肢として加わる見込みです。
◎ MSI-High と TMB-High の検査方法
MSI-High と TMB-High は、いずれもがん組織の遺伝子・タンパク質を調べる検査で判定されます。
MSI-High の検査
腫瘍組織を使った遺伝子検査(MMR関連遺伝子の異常を調べる)、または免疫組織化学染色(IHC)法によるタンパク発現の確認を行います(いずれも病理検査・がん遺伝子検査等として実施)。
TMB-High の検査
腫瘍組織を用いたがん遺伝子パネル検査(NGS:次世代シーケンサー)を行い、腫瘍にどれくらい遺伝子変異があるかを数値化して判定します。
どちらも保険診療で実施可能な検査であり、主治医が必要と判断した場合に行われます。
◎ 皮下投与製剤(キイジェクト)とは
キイジェクトは、キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)を皮下に注射するタイプの製剤です。点滴ではなく、皮膚の下に薬剤を注入する「皮下投与」という方法を用います。
皮下投与の特徴
投与時間の短縮(点滴の約30分から、数分程度へ短縮)
点滴ルート確保が不要(血管が細い方や点滴が苦手な方の身体的負担を軽減)
外来滞在時間の短縮(院内での待ち時間・治療時間の軽減)
なお、皮下投与であっても、薬剤の効果や安全性は従来の点滴用キイトルーダと同等であることが確認されています。
(※最終的な製造販売承認および薬価収載・保険適用については、今後の厚労省の告示を待つ必要があります)
◎ まとめ
膵臓がんでは免疫療法が適応となるケースは限られていますが、MSI-High または TMB-High と判定された患者さんにとっては、治療の選択肢が広がる重要なニュースです。
特に皮下投与製剤キイジェクトの登場により、外来での身体的・時間的負担が軽減され、通院治療の継続しやすさが向上することが期待されます。
(2026.09.08)