手術支援ロボット「ダビンチ」の最新モデル「ダビンチ 5 サージカルシステム(ダビンチ5)」が、7月から日本国内で販売開始されるとの記事が掲載されていました。
手術支援ロボット「ダビンチ」、第5世代がもたらす外科医療の革新 | がん情報サイト「オンコロ」
この中で、米テキサス大学MDアンダーソンがんセンター腫瘍外科の生駒成彦先生は、医療における「無駄」をなくし、合併症削減が医療費抑制につながる「バリューベース・ヘルスケア」の重要性を強調しています。膵臓がん手術の例では、ロボット手術が合併症を減らし、結果的に医療費総額を抑えることを指摘。患者にとっても、入院期間短縮や早期社会復帰により、経済的負担を軽減できると説明しました。実際、先生は、最新のダビンチ5を使い、膵頭十二指腸切除をこれまでの最短記録である5時間で終えたとのことです。この結果は、既存モデルのXiを用いた手術と比べ、約1時間半の時間短縮に相当し、ダビンチ5に搭載されたさまざまな新テクノロジーの積み重ねによるものと考察しています。
以前も紹介したところですが、膵臓がんにおけるロボット手術は本当に過渡期で、病院によって対応が大きく分かれています。
一例を挙げると、日本有数のがん専門病院である国立がん研究センター中央病院とがん研有明病院ですら方針が異なっています。国がん中央病院では、膵尾部切除術にはロボット手術の適応がありますが、膵頭十二指腸切除術ではこれまで実施しておらず、「近日導入の予定」となっています。
低侵襲膵切除(腹腔鏡下膵切除) | 国立がん研究センター 中央病院
一方、がん研有明では、膵頭十二指腸切除術にも積極的にロボット手術を取り入れています。
このたびのダビンチ5をはじめ、今後の技術の進展により、低侵襲なロボット手術の適応範囲がより一層拡大されることが待たれます。
【参考:引用記事】膵臓がん患者と家族の集い - 膵がん教室講演
(2025.06.22)