新規薬剤の迅速な承認に向けた日本の制度利用を目指して:患者の視点から現在の課題を考える
新規薬剤の迅速な承認に向けた日本の制度利用を目指して:患者の視点から現在の課題を考える
先日開催された第22回日本臨床腫瘍学会学術集会のセッションにおいて、「患者利益から考える条件付き承認制度の活用と改善策」と題して眞島喜幸氏(パンキャンジャパン、日本希少がん患者会ネットワーク)が発表を行ったとの記事が掲載されました。
新規薬剤の迅速な承認に向けた日本の制度利用を目指して:患者の視点から現在の課題を考える | がん情報サイト「オンコロ」
日本においては、昨年10月に「医薬品の条件付き承認の取扱いについて」の一部改訂が行われ、例えば、日本人患者を対象とした臨床試験成績なしに承認申請を行う場合等に、条件付き承認制度が使われることになり、新薬開発の加速が期待されるところです。
一方、近年の日本では欧米に比べて新薬承認数が少なく、ドラッグ・ロスが深刻化しています。例えば、現在第3相試験として開発が進んでいる膵臓がん関係の48品目のうち、日本でも開発が実施されているのはたった3品目とのことです。
背景には、高い治験コスト、長い審査期間、国際共同試験への参加の難しさ、薬価引き下げリスクといった日本固有の課題が存在します。
治療選択肢の少ない膵臓がんについては、新薬が求められています。眞島氏は、「患者さんは待てないので、制度を活用してできるだけ早く新薬が使えるようにしてほしい。ドラッグ・ロスを解消してほしい、というのが患者側の願いです」とし、この状況を打開するため、患者団体、アカデミア、行政、企業が連携し、課題解決に取り組む必要性を強調しています。
皆様も是非こうした状況をご理解いただければと思います。
(2025.05.08)