膵臓がんの生存率、依然として低水準だが20年で改善
膵臓がんの生存率、依然として低水準だが20年で改善
主要紙でも記事になっていたのでご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、国立がん研究センターが最新の「5年生存率」について公表しました。
5年生存率、膵臓がん10% 90年代比で一部の部位低下も(共同通信) - Yahoo!ニュース
公表結果によりますと、膵臓がんの生存率は約10%にとどまり、主要ながんの中で依然として最も低い水準となっています。今回の統計は2012年から2015年に診断された患者の治療成績を基に算出されたものであり、現在の治療水準を直接反映しているものではありません。それでも、比較表にある1990年代中頃と比べると約8割改善しており、長期的には着実な進歩が見られます。
改善の背景には、外科的治療の進歩や周術期管理の向上、化学療法の高度化、画像診断の精緻化などが挙げられます。依然として厳しい現実がある一方で、20年というスパンで見れば確実に前進してきたことは希望につながります。
さらに、対象期間以降の治療法の発展も見逃せません。特に2020年に保険適用されたオニバイド(ナノリポソーム化イリノテカン)の普及は二次治療の選択肢を広げ、生存期間延長に寄与しています。分子標的薬や免疫療法の研究も進み、治療の幅は確実に広がっています。
今回の統計は「膵臓がんの生存率は依然として低い」という現実を示す一方で、「長期的には改善が進んでいる」という希望も伝えています。厳しさと前進の両面を理解することが、患者や医療関係者にとって重要であると言えるのではないでしょうか。
(2025.11.19)