がん患者の痛み、我慢せずに医師に相談を
がんの痛みに悩む患者にとって、鎮痛剤は日常生活を送る上で欠かせないものです。でも、「モルヒネなどの医療用麻薬は依存性があるのでは?」「副作用が怖い」といった不安から、使用をためらう方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。現在の医療現場で使われているモルヒネをはじめとする鎮痛剤は、専門医の管理のもと、正しく使用すれば依存性や重篤な副作用の心配はほとんどありません。痛みを我慢することは、かえって生活の質を大きく損ない、治療への意欲も低下させてしまいます。痛みに悩んでいる方は、遠慮なく主治医や医療従事者に相談し、ご自身に合った適切な疼痛管理を受けることが大切です。
こうした中、京都大学の研究チームが、従来の麻薬性鎮痛剤とは全く異なる作用機序を持つ、新しい鎮痛薬「アドリアーナ」を開発したと昨日発表し、大きな注目を集めています。
依存性ない強力鎮痛薬、京都大チームが候補発見…28年の実用化目指す : 読売新聞
モルヒネ匹敵の鎮痛薬開発 依存性など副作用なし―「医療現場に変革」・京都大:時事ドットコム
この「アドリアーナ」は、がん患者の激しい痛みを抑える目的で開発されたもので、モルヒネに匹敵する強力な鎮痛効果を持ちながら、依存性や呼吸抑制といった重篤な副作用が確認されていない点が最大の特徴です。
研究チームは、人が生命の危機に陥った際に、脳から分泌される神経伝達物質「ノルアドレナリン」が痛みを抑える仕組みに着目。この自然な痛みの制御を妨げる薬剤を世界で初めて発見し、開発に至りました。
すでに、肺がん手術後の患者20人を対象とした治験で一定の有効性が確認されており、今後は2026年に米国で大規模な治験を実施し、早ければ2028年の実用化を目指しているとのことです。
この画期的な新薬は、従来の鎮痛剤による副作用の懸念から解放され、がん患者が痛みを感じずに日々の生活を送るための新たな希望となることが期待されます。
(2025.08.06)