2月12日、国立がん研究センターは、BRAF融合遺伝子陽性の膵がんを対象としたオンライン医師主導治験を開始したことを発表しました。同試験では、参加を希望する患者さんの自宅近くの医療機関と国立がん研究センター中央病院がパートナー契約を締結し、その医療機関(パートナー施設)で治験に必要な検査や中央病院とのオンライン診療を行うというものです。
BRAF融合遺伝子陽性の膵がんまたは低悪性度神経膠腫が対象の医師主導治験にオンライン治験を導入、アクセスの改善に期待 | がん情報サイト「オンコロ」
膵癌の多くは浸潤性膵管がんで、BRAF融合遺伝子の陽性割合はごく僅かですが、膵癌のうち1~2%程度とされる膵腺房細胞がんでは、この陽性割合が比較的高いとされています。膵腺房細胞がんの予後は、膵神経内分泌腫瘍よりは悪いものの、浸潤性膵管がんと比較すると良好ですが、標準治療は確立されておらず、通常の浸潤性膵管がんに準じて治療法が選択されることが多く、様々な化学療法が試みられています。
この治験は、遺伝子パネル検査でBRAF融合遺伝子陽性である方が対象となり、MEK阻害薬という分子標的薬の一つであるビニメチニブという経口薬の有効性を検証する医師主導治験になります。実施医療機関は、これまでは北海道大学病院、東北大学病院、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、京都大学医学部附属病院、九州大学病院となっていました。
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このたびのオンライン治験の導入により、比較的手薄であった西日本にある四国がんセンター、島根大学医学部附属病院、鹿児島大学病院、熊本大学病院、高知大学病院の5施設が加わりました。また、今後パートナー施設を全国に拡大し、希少がんオンライン治験ネットワークを整備していく予定とのことです。
対象者が非常に限られているため、こうした取組は非常に有用であり、地方在住の患者さんの治験へのアクセスが劇的に改善するのみならず、参加を希望する患者さんの早期登録と速やかな臨床開発につながることが期待されます。
(2025.02.13)