KRAS G12D変異陽性で既治療の進行固形癌にKRAS G12D分解誘導薬ASP3082は有望
KRAS G12D変異陽性で既治療の進行固形癌にKRAS G12D分解誘導薬ASP3082は有望
KRAS G12D変異陽性で既治療の進行固形癌にKRAS G12D分解誘導薬ASP3082は有望であったとの記事が載っていました。欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)において、第1相試験の結果についての報告がされたそうです。
KRAS G12D変異陽性で既治療の進行固形癌にKRAS G12D分解誘導薬ASP3082は有望【ESMO 2024】:がんナビ (nikkeibp.co.jp)
がんの発生・進展において直接的に重要な役割を果たす遺伝子をドライバー遺伝子と呼び、分子標的薬や抗体医薬などの治療の標的として有望なことから、様々な研究が行われています。
ドライバー遺伝子には、細胞の増殖を促す「がん遺伝子」と細胞の増殖を抑制する「がん抑制遺伝子」があります。前者が活性化すると、車のアクセルが壊れたようにがん化が促進され、後者が不活性化してもブレーキが壊れたようにがん化が促進されるというわけです。
KRAS[ケーラス]という遺伝子は、代表的な「がん遺伝子」の一つであり、その変異は多くのがんに見られますが、その特性上これまで長らく有効な薬が開発できなかったため、「undruggable=薬にすることができない」と言われてきました。
しかしながら、近年になって急速に研究・開発が進み、2年前にはKRAS G12C変異を有する非小細胞肺がんについて、一般名ソトラシブ(製品名ルマケラス)が国内でも保険適用となったところです。
KRAS遺伝子の変化は膵がん患者について、実に95%以上で確認されます。しかし、残念なことにG12C変異は1%程度しかおらず、多いのはG12D変異で、膵がんの診断を受けた患者の約40%に見られるとされています。
前置きが長くなりましたが、この度のKRAS G12D分解誘導薬ASP3082の臨床試験結果が有望であったとの報告は、膵がん患者にとって今後に期待が持てるものとなっています。
なお、国内においてもKRAS G12D変異を有する患者を対象として、第1相の臨床試験が始まっているところです。
また、まだ研究段階ではありますが、KRAS G12D変異については、MRTX1133と呼ばれる新規薬剤の開発も進んでいます。
KRAS標的薬MRTX1133が非臨床段階で膵臓がんに有望 | がん治療・癌の最新情報リファレンス (cancerit.jp)
この他にも、KRAS関連については、様々な研究が行われていますので、今後の進展を期待しています。
(2024.09.24)