OTC(一般用医薬品)類似薬に追加負担 ― 処方箋を減らす工夫で、負担と医療費の軽減を ―
OTC(一般用医薬品)類似薬に追加負担 ― 処方箋を減らす工夫で、負担と医療費の軽減を ―
医療費の高騰が社会的な課題となる中、当初検討されていたOTC(一般用医薬品)類似薬の保険適用除外は見送られ、2027年3月からは薬剤価格の4分の1を保険適用外として追加負担する仕組みに落ち着きました。厚生労働省が対象として検討している全77成分(約1100品目)には、がん患者にも馴染みのある解熱鎮痛薬「ロキソニン錠」や便秘症改善薬「マグミット錠」なども含まれています。がん患者や難病患者などは追加負担の対象外とされていますが、今後の動向を注視する必要があります。
ロキソニンやアレグラなど1100品目、27年3月から患者追加負担…厚労省が「OTC類似薬」提示 : 読売新聞
抗がん剤治療を受けている方にとっては、治療に伴い複数の薬が処方されることが多く、薬局での待ち時間や費用負担が悩みの種になりがちです。一部の薬局では処方箋データを事前に送ることで待ち時間を短縮できますが、それでも薬局に足を運ぶ必要があり、費用もかさみます。処方箋の回数を減らすことは、患者自身の負担軽減だけでなく、医師や薬剤師など医療従事者の業務負担の軽減にもつながります。
そのような中、「リフィル処方箋」という制度をご存じでしょうか。リフィル処方箋は、症状が安定している患者に対し、医師の判断のもとで最大3回まで繰り返し使用できる処方箋です。2022年に制度化されましたが、2023年3月時点での普及率は0.05%、2024年6月時点でも0.125%と、十分に浸透しているとは言えません。今回のOTC類似薬の負担見直しでもリフィル処方箋の活用が明記されていますが、実効性には課題が残ります。
とはいえ、リフィル処方箋を利用しなくても処方箋の回数を減らす方法はあります。そのひとつが「長期処方(まとめ処方)」です。症状が安定している慢性疾患の場合、毎回処方してもらうのではなく、数回分をまとめて処方してもらうことが可能です。抗がん剤の副作用であるしびれに対する薬や胃腸薬などがこれに該当します。また、花粉症の薬などは、耳鼻咽喉科を受診しなくても、抗がん剤治療を受けている腫瘍内科などで処方してもらえる場合があります。
こうした工夫を取り入れることで、通院回数や手続きの手間を減らすことができ、結果として医療費の削減にもつながります。制度の活用と患者自身のちょっとした工夫によって、より快適で効率的な治療環境を整えることが可能です。気になる方は、次回の診察時に医師や薬剤師へ相談してみてはいかがでしょうか。
(2025.12.25)