がん微小環境改善薬「DFP-17729」の開発状況
がん微小環境改善薬「DFP-17729」の開発状況
がんを取り囲んだり、がんに栄養を与えたりする細胞や分子、血管のことを、「がん微小環境」といいます。この特殊な環境下では、免疫や抗がん剤の働きが弱められたり、腫瘍の増殖や転移が促進されてしまいます。
そこで、この「がん微小環境」を標的とした創薬や、周りの間質細胞等を超えて薬剤をがん細胞に届かせるための研究が進められているところです。
このたび、そのような薬剤の一つである「DFP-17729」の開発状況が開示されました。この薬は、酸性に傾いた「がん微小環境」を中和することで、抗がん剤の効果を高めるとされ、これまで膵臓がん患者に対してTS-1またはゲムシタビンとの併用と抗がん剤単剤療法を比較した第2相試験が行われてきました。
この試験全般での有意差は認められませんでしたが、詳細な解析の結果、膵臓がん患者の 3 次以降の治療でTS-1 と併用して長期間治療(6 週間以上)を行った場合、「DFP-17729」と併用した群の生存期間の中央値(mOS)は9.0か月、抗がん剤治療のみの群の生存期間の中央値(mOS)は 6.1か月となり、両群の間に差が認められたとのことです。
Delta-Fly Pharma[4598]:DFP-17729の開発状況に関するお知らせ 2024年12月4日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞
膵臓がんは、アブラキサン・ゲムシタビン併用療法またはフォルフィリノックス療法(オニバイドを含む)による1次・2次治療を行った後の3次治療について、効果的な治療法がないのが大きな課題となっています。
今後、膵臓がんの3次治療以降の患者を対象として、「DFP-17729」とTS-1 を併用する第2/3相試験が行われる見込みですので、開発の進展を注視したいと思います。
【参考URL】
(2024.12.11)