先日、タレントの山瀬まみさんがラジオ番組で復帰され、子宮体がんの闘病中に脳梗塞を発症していたことを明かされました。その原因とされるのが「トルソー症候群」という、がんに伴う血栓症です。
「何も覚えていない」山瀬まみ 休養から復帰も子宮体がん全摘、術後に脳梗塞の壮絶闘病を発表「無事でよかった」ファン安堵(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
トルソー症候群とは、がんによって血液が固まりやすくなり、血栓が脳や肺、心臓などに飛ぶことで梗塞を引き起こす状態を指します。婦人科系のがんで知られることが多いですが、実は膵臓がんでも高頻度で発症していることが報告されています。
抗がん剤治療を受けている方や、治療後に体力が低下している方は、長時間の安静や座位が続くことで、いわゆる「エコノミークラス症候群」のような状態になりやすく、血栓ができやすくなります。その結果、脳梗塞のリスクが高まることがあります。
注意すべき点は、脳梗塞の初期症状が抗がん剤の副作用と似ているため、見過ごされやすいことです。たとえば、軽いめまいや手足のしびれ、言葉のもつれなどは副作用と誤認されることがありますが、実際には脳梗塞の兆候である可能性も否定できません。
少しでも違和感を覚えた場合は、自己判断せず、速やかに医療機関へ相談することが大切です。膵臓がんを治療中の方やそのご家族には、血栓症のリスクについて正しく理解し、日常生活の中で予防と早期発見に努めていただきたいと思います。
山瀬さんの回復は本当に喜ばしいことですが、その背景には命に関わる危機があったことを忘れてはなりません。がんと脳梗塞は無関係と思い込まず、日々の体調変化に敏感であることが、命を守る第一歩です。
がんの合併症で脳梗塞に?知っておきたい「トルソー症候群(がん関連脳梗塞)」 | サワイ健康推進課
(2025.10.12)