ASCO GI 2025で発表された研究によると、切除不能局所進行膵癌のコンバージョン手術においては、術前治療期間が6カ月以上で、1次治療としてFOLFIRINOXベースの抗がん剤治療を受けている場合の成績がよかったとのことです。
切除不能な局所進行膵癌でコンバージョン手術を受けた患者は術前治療6カ月以上とFOLFIRINOXによる治療が予後良好因子【ASCO GI 2025】:がんナビ
切除不能局所進行膵癌とは、ステージⅢまたはステージⅡの切除可能境界のことで、遠隔転移(他の臓器への転移) がないものの、がんが周囲の重要な血管や臓器に浸潤し、手術での完全切除が難しい状態を指します。こうしたケースで、抗がん剤治療等により、がんが縮小して切除が可能になった手術のことをコンバージョン手術といいます。
術前治療期間は、6カ月以上が6カ月未満と比較して有意に成績がよく、患者としては早く手術を受けたいところですが、やはり十分な抗がん剤治療等を行い、病状を安定させる必要があることが実証されました。よく物理的には手術ができる状態までがんが縮小していたのに、抗がん剤治療等を続けていたところ、転移してしまったというケースを聞きます。非常に残念ではありますが、無理に手術を受けていたとしてもすぐに転移・再発していた可能性が高く、QOLが落ちることも考え合わせると、やむを得ない判断だったと思います。
また、最近は1次治療として、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP) 、いわゆるアブジェムが選択される場合が多くなっています。しかしながら、積極的にコンバージョン手術を狙う場合は、診療ガイドラインでも推奨されていない高齢患者でなければFOLFIRINOXを選択することも一考であると、今回の研究結果は示唆しています。
(2025.01.30)