未承認のがん遺伝子治療に初の措置命令──厚労省が北青山D.CLINICに行政処分
未承認のがん遺伝子治療に初の措置命令──厚労省が北青山D.CLINICに行政処分
本日(2025年8月23日)の朝刊各紙に掲載されていたため、ご覧になった方も多いかと思いますが、昨日、厚生労働省と環境省は、東京都渋谷区の「北青山D.CLINIC」に対し、カルタヘナ法違反に基づく措置命令を発出したと発表しました。
がんに対する自由診療の遺伝子治療めぐり、厚労省などが措置命令(朝日新聞) - Yahoo!ニュース
未承認「がん遺伝子治療」に措置命令 カルタヘナ法、自由診療で初(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
同クリニックは2009年以降、末期がん患者を対象に「CDC6shRNA治療」と称する遺伝子治療を自由診療で提供していましたが、使用されていた組み換えウイルス製剤(レンチウイルスベクター)はカルタヘナ法の規制対象であり、本来は事前の申請と承認が必要であったというものです。
厚労省によると、これまでに約3,000件以上の治療が未申請のまま実施されており、自由診療に対する措置命令は制度開始以来初の事例です。人体や環境への有害事象は現時点で確認されていませんが、製剤の廃棄と再発防止策の提出が命じられました。
クリニック側は「規制対象外と認識していた」と釈明しつつ、「措置命令を真摯に受け止め、申請体制を整える」とコメントしています。
本件は、遺伝子治療の制度運用および自由診療における規制強化の必要性を改めて浮き彫りにするものであり、今後の医療機関の対応や制度改正の動向が注目されます。
(2025.08.23)