抗がん剤治療を受けられている方は、手足の痺れや痛みなどの副作用に悩まされている場合が多いかと思います。
特に、フォルフィリノックスとアブラキサン+ジェムザールを受けている方は、この末梢神経障害という副作用が表れることが一般的です。
しかしながら、痺れへの対策で効果が高いといえるものは、残念ながら存在しないのが現状です。
末梢神経障害に対する薬は、プレガバリン(リリカ)やミロガバリン(タリージェ)、漢方の牛車腎気丸等がありますが、効果は限定的です。
また、手指については、抗がん剤投与中に冷やしたり、医療用手袋をはめることで血流を低減させるなどの対策が取られる場合もあるようですが、アブラキサン+ジェムザールはともかくとして、フォルフィリノックスは寒冷刺激による痺れを誘発するおそれもあり、実効性は高くありません。
そうした中、運動がその有効な対策になる可能性が、海外での研究結果で示されました。
運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効か|医師向け医療ニュースはケアネット (carenet.com)
運動といっても、全身を動かすようなハードなものではなく、比較的簡単なものとなっています。
この研究では、運動しない場合に比べて、半数程度の人に痺れなどの発現を抑制する効果が認められました。既に症状が出ている方にどの程度の効果があるかは分かりませんが、同様の運動を行うことで一定の効果が見込めるかもしれません。
なお、乳腺外科のクリニックの医師が、この研究の記事について、分かりやすく解説しているサイトがありました。運動方法の具体的な内容も翻訳文が記載されていますので、ご興味のある方は参考にしてみてください。
運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効か (nishihara-breast.com)
末梢神経障害はQOLを下げるだけでなく、特に足の痺れは転倒骨折を招くなど、抗がん剤治療にも大きな影響を与える恐れがあり、十分に注意しなければなりません。
今回の研究内容に基づく取組が進み、痺れなどの予防対策として早期に確立されることが期待されます。
(2024.08.15)