病的ペリオスチンを標的とする抗体医薬「PT0101」
病的ペリオスチンを標的とする抗体医薬「PT0101」
先日、大阪大学などの研究グループが、標記抗体医薬「PT0101」の治験を開始すると発表しました。
がん治療のブレイクスルーへ! 転移・再発した乳がんに対する 新規抗体医薬の臨床試験を実施 ― 病的ペリオスチンを標的とする「PT0101」― | 大阪大学医学系研究科・医学部
このニュースは様々なメディアで報道されましたが、転移・再発した乳がん患者が中心となる取扱いであったため、膵臓がん患者・家族の方は見逃していたのではないでしょうか。
「病的ペリオスチン」は、間質(がん細胞を取り囲む組織)で分泌されるタンパク質で、抗がん剤への耐性を持つなど、治療の効果を減少させることなどが分かっています。
「PT0101」は、この病的ペリオスチンの作用を抑制し、がん細胞とがん間質の両方に作用して、抗がん剤が効きにくいがんの治療に新たな可能性をもたらすことが期待されています。
今回は、「HER2陰性転移・再発乳がん」患者に対する第2相試験が中心ですが、併せて「標準治療の実施・継続が困難である進行固形がん」患者に対する第1相試験も行われるところです。
転移・再発したがんは、抗がん剤が効きづらく、治療継続が困難な場合が少なくありません。
抗がん剤に対する耐性を克服する新たな治療戦略として、膵臓がんをはじめとした難治性がんへの応用に期待がかかります。
(2025.03.19)