進行膵臓がん、腫瘍マーカーと遺伝子タイプを組み合わせた新たな予後指標モデルの開発に成功
進行膵臓がん、腫瘍マーカーと遺伝子タイプを組み合わせた新たな予後指標モデルの開発に成功
令和7(2025)年4月、名古屋大学は、進行膵臓がんに適応しうる新たな予後指標モデルを開発したことを発表しました。
【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年5月12日) – がんプラス
先日開催された「集い」における「膵臓がん手術経験者によるトークセッション」でも、4人のパネリストから各々の手術に至る経過が語られました。当初の診断時から「切除可能」はお一人のみで、「切除可能境界」がお二人、「切除不可」がお一人となっています。手術を実施する判断はCT等の画像検査に加えて、腫瘍マーカーの推移などを総合的に勘案して行われますが、腫瘍マーカーには個人差があり評価が困難でした。
研究グループは、遺伝子(FUT2、FUT3)タイプと腫瘍マーカー(CA19-9、DUPAN-2)の関係を解析し、マーカー値はがんの進行度(切除可能性分類)よりも遺伝子タイプによる違いが大きいことを発見しました。そして、 これらを組み合わせた新たな予後指標モデルを開発したところ、従来の腫瘍マーカーの正常値だけに頼った指標と比較して、同モデルの生存率予測性能は優れており、より正確な生存率を予測しうることが明らかになったとしています。この結果を受けて、FUT2/3遺伝子多型検査キットの研究開発や、同モデルの効果を実証するための臨床試験を実施するとのことです。
今後はこの予後指標モデルに沿って、手術の実施を判断することで、メリットの少ない手術の回避や「手術できない」と見過ごされてきた患者さんの一部に手術を提案できることが期待されます。
【参考:名古屋大学発表資料】Bri_250430.pdf
(2025.05.15)