ステージⅢの膵臓がんで腫瘍治療電場(TTフィールド)療法と抗がん剤の併用が全生存期間を有意に延長
ステージⅢの膵臓がんで腫瘍治療電場(TTフィールド)療法と抗がん剤の併用が全生存期間を有意に延長
がんが膵臓周辺の大きな血管を巻き込んでいるなどして手術ができないステージⅢの治療は、一般的には抗がん剤治療を行ったうえで、改善が図れた場合は手術を行うことになります。
遠隔転移があるステージⅣと異なり、重粒子線治療等の局所治療も考えられるところですが、さまざまな制約があることから実施できる場合は多くありません。具体的には、治療設備が大規模で実施できる施設が限られること、放射線の影響を受けやすい臓器の近くの腫瘍には照射できないことなどです。また、副作用のリスクや治療期間中は抗がん剤治療に制約を受けることもデメリットとして挙げられます。
そうした中、切除不能局所進行膵腺癌の1次治療として、交流電場を利用した局所的な非侵襲の癌治療法(腫瘍治療電場、TTフィールド)とゲムシタビン、nab-パクリタキセルの併用は、ゲムシタビン、nab-パクリタキセルのみの場合よりも有意に全生存期間(OS)を延長できることが分かったという試験結果が発表されました。
局所進行切除不能膵腺癌の1次治療で交流電場腫瘍治療TTFieldsとゲムシタビン、nab-パクリタキセルの併用が全生存期間を有意に延長:がんナビ
腫瘍治療電場(TTフィールド)は、がんの細胞分化を混乱させる電場(帯電した物体の周りに存在する電気の力が作用する場)です。TTフィールドを発生させる携帯型機器を腹部に粘着性パッチで貼り付けることにより自宅や職場等で継続的に治療が行え、抗がん剤治療等とも併用でき、大きな副作用も報告されていません。
TTフィールド療法は、2017年に脳腫瘍の一種である膠芽腫に対する治療法として保険適用されており、再発非小細胞肺がんに係る外国製造医療機器製造販売承認申請も行われているところです。
今後、膵臓がんについても、日米欧などで申請を行う計画だとされており、将来的に治療選択肢が増えることが期待されます。
【参考URL】
ノボキュア、膵がんに対する腫瘍治療電場療法(TTフィールド)の第3相臨床試験PANOVA-3のトップライン結果を発表:時事ドットコム
PANOVA-3 - Novocure Clinical Trials
(2024.12.05)