高額療養費制度、2026年から段階的に見直しへ ――がん患者には「多数回該当」や年間上限で一定の配慮
高額療養費制度、2026年から段階的に見直しへ ――がん患者には「多数回該当」や年間上限で一定の配慮
高額療養費制度をめぐっては、2024年に最大70%超の自己負担引き上げ案が示され、患者団体から「治療継続を脅かす」と強い反発が起きました。政府は一度見直しを見送りましたが、再検討を経て2025年12月に最大38%の引き上げを盛り込んだ改正案を公表し、2026年から段階的に実施する方針を固めました。がん患者には多数回該当の据え置きや年間上限の新設など、一定の配慮が盛り込まれています。
高額療養費の自己負担上限、年収に応じ最大38%引き上げ…石破内閣時の70%超案から抑制 : 読売新聞
◎ 改正のポイント
- 平均的な年収層(約510~650万円)
現行の月額上限約8万円 → 改正後は約9万8千円(約1万8千円増)
- 年収650~770万円層
月額約8万100円 → 約11万400円(約3万円増)
- 70歳以上の外来特例
月8千円 → 年収に応じて月8千円~1万8千円(最大1万円増)
さらに、長期治療患者向けに「多数回該当」の据え置かれるほか、年間上限(18万~168万円)が新設されます。平均的な年収層では年間約53万円が上限となり、支払いが青天井になる不安を緩和する狙いがあります。
改正案は2026年8月と2027年8月の2段階で実施される予定です。政府は「公平な負担と制度の持続可能性を両立させる」と説明しています
一方で、今回の見直しによる具体的な負担額が明らかとなったことを受け、全国がん患者団体連合会(全がん連)と日本難病・疾病団体協議会(JPA)は、「高額療養費制度の見直しに関する共同声明」を公開し、厚生労働省に提出しました。
「高額療養費制度の見直しに関する共同声明」の公開と提出について | 一般社団法人 全国がん患者団体連合会(全がん連)
(2025.12.25)