令和8年5月30日(土)、大田区立消費者生活センター2階大集会室にて、「膵臓がん患者と家族の集い」を開催しました。
今回は、患者さん、ご家族、ご遺族、運営サポーターを含め、78名の皆さまにご参加いただきました。
受付開始前から会場前でお待ちになる方の姿もあり、開場後は資料に目を通しながら、開会を待つ様子が見られました。
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第一部 講演
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第一部では、東京科学大学 臨床腫瘍学分野 主任教授の浜本康夫先生をお迎えし、「膵臓がん治療の今とこれから」をテーマにご講演いただきました。
講演では、現在の薬物療法や治療の進め方に加え、KRAS遺伝子変異に対する薬剤開発、ダラクソンラシブ(RAS阻害薬)やTTフィールド(腫瘍治療電場療法)など、今後期待される治療についてもご紹介いただきました。
また、薬の副作用には個人差が大きいこと、抗がん剤選択のポイント、治療を続けるための体力、バイオマーカーを踏まえた治療選択など、日々の治療を考えるうえで大切なお話もありました。
以前は難しいとされていた膵臓がん手術も、この5年から10年で変化してきていることにも触れられ、会場では熱心にメモを取りながら聞く姿も多く見られました。
講演の後半では、先生が質問に回答してくださる時間も設けられました。
事前に寄せられた質問は、最新治療から日常生活に関することまで幅広く、治療に関する切実な内容も含まれていました。
予定時間を大幅に過ぎても、浜本先生は一つひとつの質問に丁寧に答えてくださいました。
最後には浜本先生から「明日よい発表があります」と、シカゴで開催されているASCO2026(米国臨床腫瘍学会)で、ダラクソンラシブに関する重要な発表があることにも触れていただきました。
長く治療が難しいとされてきた膵臓がんですが、新しい治療の可能性が少しずつ形になっていることを感じられる締めくくりとなりました。
※ ASCO2026(米国臨床腫瘍学会)でのダラクソンラシブに関する発表について、詳しくは補足をご覧ください。
【講演動画URL:https://youtu.be/CBjdTXfPxfE】
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第二部 交流会
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第二部では、患者さんやそのご家族による交流会を行いました。
今回は、参加者の約3分の1が初めての参加でした。一方で、3回以上参加されている方も多く、皆さんリラックスした様子で、積極的に言葉を交わされていました。
前半は病期ごとにテーブルを囲み、自己紹介や治療状況、日々感じていることなどを共有しました。
話し手に体を向けて耳を傾ける姿。同じ悩みを抱える方の話に、何度もうなずく姿。それぞれのテーブルで、自然と会話が広がっていきました。
中盤ではテーマごとに分かれ、治療の戦略、副作用と対策、代替医療などについて情報交換が行われました。
交流会の間も浜本先生が個別相談に対応してくださり、先生の前には長い行列ができていました。
後半の自由交流、そして閉会後も、会場のあちこちで会話が途切れることなく続いていました。
帰り際まで言葉を交わす姿から、この場でしか話せないこと、この場だから話せることがあるのだと、あらためて感じました。
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おわりに
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アンケートでは、「大変満足した」「有意義な時間だった」といった声も多く寄せられました。
今回の集いが、参加された皆さまにとって、必要な情報や言葉と出会う時間になっていれば幸いです。
ご参加いただいた皆さま、講演を快くお引き受けくださった浜本先生、運営にご協力いただいた皆さま、心より感謝を申し上げます。
(2026.05.31)
補足:ASCO2026(米国臨床腫瘍学会)で発表されたダラクソンラシブについて
今回話題に上がったダラクソンラシブは、膵臓がんに多く関わるKRASを含むRASという遺伝子の変異に着目した、現在開発中の治療薬です。
RASは、がんの研究において長く注目されてきた遺伝子です。1980年代から、がんの増殖に深く関わることが知られていました。しかし、その重要性がわかっていながら、薬で直接狙うことはとても難しいとされてきました。
多くの研究者や医療者が、この難しい領域に挑み続けてきましたが、その壁は非常に高く、何十年もの間、治療薬として形にすることが難しい時期が続きました。
RASは長い間「薬にすることができない標的」、英語で「undruggable」とさえ言われていたのです。
今回、ASCO2026(米国臨床腫瘍学会)で発表されたダラクソンラシブの第3相試験の結果が大きな注目を集めているのは、そうした長年の積み重ねの先に、新しい治療の可能性が具体的に見えてきたからです。
すでに公表されている概要では、前治療歴のある転移性膵管腺がんの患者さんを対象に、標準的な化学療法と比べて生存期間の大幅な延長が示されています。
現時点では開発中の薬であり、対象となる病状や遺伝子の状態、承認までの過程など、今後も確認が必要です。
それでも、長く難しいとされてきた領域で、研究と治療の歩みがここまで形になってきたことは、患者さんやご家族にとって、これからを考えるうえで大切な希望のひとつになるのではないかと感じます。
【2026.06.01追記:【ASCO 2026 速報】膵臓がん治療における新しい選択肢 経口RAS阻害薬「ダラキソンラシブ」の第III相試験データが発表 】