2026年6月、公益財団法人日本対がん協会が「がん患者・家族の生成AI利用状況に関する調査」を発表しました。生成AIの活用が広まる中、がん患者や家族においても、AI利用にも関心が高まっています。
調査の概要を以下にまとめます。
生成AIの利用率は、がん患者本人6.7%、家族7.5%
生成AIの役割では、「情報を分かりやすく説明・要約・比較検討してくれる」が最も高く62.4%
生成AIの情報に誤りがあると感じたことがあるがん患者は66.2%
生成AIの利用によるポジティブな影響を受けた人は7割
がん患者本人の診断後の期間が短いほど生成AIの利用率が高い傾向
まず、生成AIの利用率は、患者で6.7%と決して高いとは言い切れません。しかし、情報源としての認知については、がん相談支援センターやがん情報サービスよりも高く、告知されてからの期間が短いほど生成AIをもとに情報を求める傾向が強いようです。
生成AIによる情報収集では「情報をわかりやすく説明・要約・比較検討してくれる」という利点が挙げられる一方で、「生成AIの情報に誤っていると感じたことがある」と回答した人も66.2%に上る結果となっています。
※グラフは「がん患者・家族の生成AI利用状況に関する調査報告」(公益財団法人日本対がん協会)より
がん患者・家族の生成AI利用状況に関する調査報告|日本対がん協会|がんサバイバー・クラブ
生成AIの活用の注意点と情報収集のコツ
がんを告知されたとき、治療を続けているときなど、医師や看護師からの情報だけでは不安になってしまうことがあります。そこで生成AIに頼ることそのものは間違いではありません。今回の調査でも、生成AIの利用については、全体の7割が「ポジティブな影響を受けた」と評価しています。ただし、「誤りを感じた」という回答も多く、生成AIとの付き合い方にはコツがあります。
生成AI利用のメリット
難しい用語や診断結果の要約
医師に説明してもらった内容、検査結果など、診断時に聞きそびれたこと、理解が追いつかなかったことなどを確認することができます。「素人でもわかるように説明して」などと頼むといいでしょう。
診察前の質問リストの作成
医師の診察時に聞きたいこと、確認したいことをリストアップするのに役立ちます。自分が気になっていることなどを入力して「質問リストを作って」などと頼むといいでしょう。どう聞いたらいいかなども整理してくれます。後から聞き漏らしたというケースを減らすことができます。
日常の生活支援や制度・手続きに関する調べものの補助
高額療養費制度などの社会保障制度、仕事との両立、日常の生活に対する配慮など、医師に相談できない、しにくいことについて、関連情報の提供が容易になります。
生成AI利用の注意点
・「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」がある
AIは事実と異なる情報を本当のように生成することがあります。実際に今回の調査でも66.2%の方が「誤り」を感じ取っています。特に薬の用量・相互作用・副作用などについては、AIの回答を鵜呑みにせず、必ず医療情報源で確認が必要です。
・個人情報は絶対に入力しない
氏名、生年月日、病院名、詳細な検査数値などの個人情報はAIに入力しないでください(情報漏洩やプライバシー上のリスクがあります)。
・心の悩みや判断をAIに委ねず、医療スタッフ・専門機関に相談する
AIは医療判断や危機介入ができません。「不安や気分の落ち込みといった精神的なケア」や「治療の意思決定」についてはAIに頼らず、必ず主治医や看護師、「がん相談支援センター」などの専門機関をご利用ください。
・生成AIは「あくまでも情報収集の一つの手段」だと認識する
病気に関する情報収集の手段はたくさんあります。生成AIはとても手軽で有用な情報収集の手段ですが、これだけに頼らず、かかっている病院の支援センター、がん情報サービス、患者会なども積極的に活用すると良いでしょう。
膵臓がん患者・家族の集いでは、「信頼できる情報」を以下にまとめています。
また、ハルシネーションが起こりにくい、がん情報に特化した生成AIもあります。
一般財団法人 在宅がん療養財団「ランタン」
AI搭載対話型がん相談サービス「ランタン」 | Lantern-AI
生成AIはとても有用な情報源ですが、そこにはリスクもあります。あくまでも「重要な情報源の一つ」と考え、上手に付き合っていくことが重要です。
(2026.08.08)