令和8(2026)年4月17日から22日に米国サンディエゴで開催された American Association for Cancer Research Annual Meeting 2026(AACR 2026) では、膵臓がん領域においても多くの重要な研究成果が報告されました。
AACR(米国癌学会)は ASCO(米国臨床腫瘍学会)、ESMO(欧州腫瘍学会) と並ぶ世界三大がん学会の一つであり、基礎研究から臨床試験まで、がん治療の未来を方向付ける最新知見が集まる場です。
今年のAACRでは、膵臓がんに対する新規治療アプローチが相次いで発表され、分子標的薬、免疫療法、ウイルス療法など、多様な戦略が臨床的な可能性を示しました。以下では、がんナビが報じた主要トピックを紹介します。
転移を有する膵腺癌において、daraxonrasib と化学療法の併用が安全性と有望な抗腫瘍効果を示し、ctDNAの消失も確認されたと報告されました。RAS変異を標的とする治療は長年困難とされてきましたが、本研究はその壁を越える可能性を示しています。
転移のある膵腺癌にRAS阻害薬daraxonrasibと化学療法の併用は安全で有望な効果とctDNA消失を認める【AACR 2026】:がんナビ
なお、daraxonrasib(RMC‑6236)については、先日速報として第3相臨床試験の結果も紹介しており、今後の動向が注目されます。
膵臓がん患者と家族の集い - RAS阻害薬 RMC‑6236③
転移性膵臓癌の標準治療(ゲムシタビン+nab-パクリタキセル)に narmafotinib を追加しても毒性の増強は見られず、臨床効果が向上。腫瘍微小環境(TME)を制御するFAK阻害薬の併用は、今後の治療戦略として期待されます。
転移性膵臓癌ファーストライン標準治療にFAK阻害薬narmafotinibの併用で毒性の増強なく臨床効果向上【AACR 2026】:がんナビ
KRAS G12C変異陽性の既治療進行大腸癌および膵管腺癌に対し、elisrasib が有効性を示す可能性が報告されました。
膵臓がんにおけるKRAS G12C変異陽性例は限定的ですが、大腸癌では セツキシマブとの併用 による相乗効果も示唆されるなど、KRAS領域の治療開発がさらに加速しています。
次世代KRAS G12C阻害薬elisrasibはKRAS G12C変異陽性の既治療進行大腸癌と膵管腺癌に有効な可能性、大腸癌ではセツキシマブとの併用も【AACR 2026】:がんナビ
進行膵癌に対し、LOAd703 と nab-パクリタキセル、ゲムシタビン、アテゾリズマブの併用が安全で有望な効果を示したとの報告もありました。
ウイルス療法と免疫療法・化学療法を組み合わせるアプローチは、難治がんに対する新たな可能性を提示しています。
進行膵癌に腫瘍溶解性アデノウイルスLOAd703とnab-パクリタキセル、ゲムシタビン、アテゾリズマブの併用は安全で有望な効果【AACR 2026】:がんナビ
AACR 2026では、膵臓がん治療の未来を切り拓く多様なアプローチが示されました。
RAS阻害、FAK阻害、KRAS G12C阻害、腫瘍溶解ウイルスなど、これまで治療選択肢が限られていた膵臓がんに対し、新たな光となる研究成果が続々と登場しており、今後の進展が期待されます。
(2026.04.24)