オニバイド(ナノリポソーム型イリノテカン)、膵臓がん一次治療への適応拡大を申請 ― NALIRIFOXが約10年ぶりの新たな一次治療選択肢となる可能性 ―
オニバイド(ナノリポソーム型イリノテカン)、膵臓がん一次治療への適応拡大を申請 ― NALIRIFOXが約10年ぶりの新たな一次治療選択肢となる可能性 ―
当サイトではこれまで、NALIRIFOX療法が日本人においても有効性と安全性を示したことを紹介してきました。
膵臓がん患者と家族の集い - 転移を有する膵腺癌の1次治療でNALIRIFOXは日本人でも有効性と安全性が確認
NALIRIFOXとは、FOLFIRINOX療法を構成する3剤のうち、通常のイリノテカンをオニバイド(ナノリポソーム型イリノテカン)に置き換えた治療法です。副作用を抑えつつ高い治療効果が期待され、海外では一次治療として広く使用されています。
しかし日本では、オニバイドはこれまで「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵がん」に対する二次治療以降でしか適応が認められていませんでした。
✅ 一次治療への適応拡大が正式に申請
2025年12月16日、日本セルヴィエ社はオニバイドについて、未治療の治癒切除不能な膵がんに対する一次治療への適応追加を厚生労働省に申請したと発表しました。
抗悪性腫瘍剤オニバイド、治癒切除不能な膵臓がんの一次治療への適応拡大を申請 | がん情報サイト「オンコロ」
この申請は、海外第III相試験「NAPOLI-3試験」の結果に基づくものです。同試験では、
• NALIRIFOX療法が標準治療の一つであるGnP療法(ゲムシタビン+ナブパクリタキセル)より全生存期間を有意に延長
• 安全性プロファイルは既存の知見と一致し、新たな懸念は確認されず
と報告されています。
✅ 約10年ぶりの一次治療薬となる可能性
膵臓がんの一次治療は長らく、アブラキサン+ゲムシタビン(GnP療法)とFOLFIRINOX療法の2つが中心でした。
ここ数年でオニバイドやオラパリブなど新薬が承認されてきたものの、いずれも二次治療以降での使用に限られていました。今回の申請が承認されれば、NALIRIFOXは約10年ぶりに一次治療の新たな選択肢となる可能性があります。
✅ 安全性はすでに確立、早期承認に期待
オニバイドは世界58か国で承認されており、国内でも二次治療として十分な使用実績があります。安全性プロファイルも既存のデータと一致しており、新たな懸念は確認されていません。
そのため、今回の適応拡大についても早期の承認が切望されます。
(2025.12.19)