令和8(2026)年7月1から4日にドイツ・ミュンヘンで開催されたESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2026(ESMO GI 2026)において、膵臓がんに関わる各種研究結果が発表されました。ESMO(欧州腫瘍学会)は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2026)、米国癌学会 (AACR)と並ぶ世界的な癌学会で、GIとは消化器がん(GI cancers)領域に特化した国際学会です。今回はその中から、がんナビに掲載された3つの研究をご紹介します。
1.CLDN18.2陽性の進行膵腺癌の1次治療におけるゾルベツキシマブ併用の有効性は示されず
CLDN18.2陽性の進行膵腺癌の1次治療でゲムシタビン+nab-パクリタキセルに抗CLDN18.2抗体ゾルベツキシマブを追加しても全生存期間は改善できない可能性【ESMO GI 2026】:がんナビ
CLDN18.2陽性の転移を有する膵腺癌患者の1次治療として、ゲムシタビン+nab-パクリタキセルに抗CLDN18.2抗体ゾルベツキシマブを追加投与しても、全生存期間(OS)は改善できない可能性が明らかとなりました。
CLDN18.2は膵がんの約50〜60%で陽性と報告されており、期待された標的の一つではありますが、今回は残念な結果となりました。ただし、CLDN18.2をめぐる取組は他にも進展しており、引き続き注視していきたい領域です。
膵臓がん患者と家族の集い - ASCO 2026 米臨床腫瘍学会
膵臓がん患者と家族の集い - Claudin18.2標的CAR-T療法
2.KRAS G12D変異陽性進行膵管腺癌の2次治療以降で、zoldonrasib+ダラキソンラシブ併用が有用な可能性
KRAS G12D変異陽性の進行膵管腺癌の2次治療以降でRAS G12D阻害薬zoldonrasibとRAS阻害薬daraxonrasibの併用が有用な可能性【ESMO GI 2026】:がんナビ
KRAS G12D変異陽性の転移を有する進行膵管腺癌に対し、RAS G12Dアイソフォームの活性型(GTP結合状態)を標的とするRAS(ON)G12D阻害薬 zoldonrasib(RMC-9805) と、RAS阻害薬 ダラキソンラシブ の併用が有用である可能性が示されました。
先日もお伝えしたとおり、ダラキソンラシブの薬剤耐性を回避するため、初めから他剤と組み合わせる併用療法の開発が進められており、本研究はそうした取り組みの一つです。
3.KRAS G12D変異陽性進行膵癌の1次治療で、zoldonrasib+化学療法併用が有用な可能性
RAS G12D変異陽性の進行膵癌の1次治療でRASG12D阻害薬zoldonrasibと化学療法の併用が有用な可能性【ESMO GI 2026】:がんナビ
こちらの方は、RAS G12D阻害薬 zoldonrasib と既存の化学療法(mFOLFIRINOX(mFFX)またはゲムシタビン+nab-パクリタキセル(GnP))を併用した結果、1次治療として有用な可能性が示されたという報告です。
(2026.07.05)